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Cookieの規制がコンバージョン計測に与える影響

インターネット広告の効果を測るために欠かせないCookieですが、近年、プライバシー保護の観点から規制が強化されています。Cookieの規制は、広告主や広告運用者にとってどのような影響をもたらすのでしょうか?本記事では、Cookieとは何か、なぜ規制されたのか、そして規制によって広告配信やコンバージョン計測にどのような変化が起こるのかを解説します。また、Cookie規制への対策として有効な広告配信方法も紹介します。

Cookieとは

Cookieとは、ウェブサイトを訪問した際にブラウザに保存される小さなテキストファイルです。Cookieには、ユーザーの設定やログイン情報、閲覧履歴などの情報が含まれており、ウェブサイトの利便性やパーソナライズを向上させる役割があります。

Cookieの種類

Cookieには大きく分けて、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの2種類があります。

  • ファーストパーティCookieとは、ユーザーがアクセスしたウェブサイト自身が発行するCookieです。例えば、ユーザーがYahoo! JAPANのサイトにアクセスした場合、Yahoo! JAPANが発行するCookieがファーストパーティCookieになります。ファーストパーティCookieは、ユーザーの設定やログイン情報などを保存するために利用されます。
  • サードパーティCookieとは、ユーザーがアクセスしたウェブサイト以外の第三者が発行するCookieです。例えば、ユーザーがYahoo! JAPANのサイトにアクセスした際に、広告配信やアクセス解析などを行う別の企業が発行するCookieがサードパーティCookieになります。サードパーティCookieは、ユーザーの閲覧履歴や興味・関心などを把握するために利用されます。

Cookieが規制された理由

近年、インターネット上での個人情報の取り扱いに関する社会的な関心や規制が高まっています。特に、サードパーティCookieは、ユーザーのプライバシーを侵害するという批判が強くなっており、各国で法的な規制が進んでいます。

  • 2018年5月には、欧州連合(EU)で一般データ保護規則(GDPR)が施行されました。GDPRでは、個人データの収集や処理について、ユーザーから明示的な同意を得ることが義務付けられました。
  • 2020年1月には、カリフォルニア州でカリフォルニア消費者プライバシー法(CCPA)が施行されました。CCPAでは、個人データの収集や販売について、ユーザーから事前に同意を得るか、拒否する権利を与えることが義務付けられました。
  • 2023年1月には、英国でデジタル・マーケティング・コード(DMC)が施行される予定です。DMCでは、オンライン広告やソーシャルメディアなどでの個人データの利用について、より厳格な規制が導入される予定です。

また、主要なブラウザでもサードパーティCookieへの対策が進められています。

  • 2017年6月には、Apple社のSafariブラウザでインテリジェント・トラッキング・プリベンション(ITP)機能が導入されました。ITPでは、サードパーティCookieの有効期限を短縮したり、ブロックしたりすることで、ユーザーの追跡を制限しています。
  • 2019年9月には、Mozilla社のFirefoxブラウザで強化型トラッキング保護(ETP)機能が導入されました。ETPでは、サードパーティCookieやその他のトラッカーをデフォルトでブロックすることで、ユーザーのプライバシーを保護しています。
  • 2020年2月には、Google社のChromeブラウザでセキュアなCookieのみを受け入れるようにする変更が発表されました。また、2022年までにサードパーティCookieを廃止する計画が発表されました。

Cookieの規制による広告配信への影響

Cookieの規制は、オンライン広告業界に大きな影響を与えています。特に、サードパーティCookieは、ターゲティングやコンバージョン計測などの広告効果測定に重要な役割を果たしていたため、その機能が制限されることで、広告主や広告媒体にとって多くの課題が生じています。

ターゲティングがより困難に

ターゲティングとは、広告主が自社の商品やサービスに興味・関心を持ちそうなユーザーを特定し、そのユーザーに対して広告を配信することです。ターゲティングには、以下のような種類があります。

  • リターゲティング:
    一度ウェブサイトを訪問したユーザーに対して、再度広告を配信することです。例えば、ユーザーがある商品をカートに入れたが購入しなかった場合、その商品の広告を別のウェブサイトで表示することです。
  • ビヘイビアターゲティング:
    ユーザーの閲覧履歴や検索履歴などの行動データから興味・関心を推測し、そのユーザーに対して広告を配信することです。例えば、ユーザーが旅行関連のサイトを多く閲覧した場合、旅行商品の広告を表示することです。
  • デモグラフィックターゲティング:ユーザーの年齢や性別などの人口統計的な属性からターゲット層を設定し、そのユーザーに対して広告を配信することです。例えば、女性向けの化粧品の広告を女性ユーザーに表示することです。

これらのターゲティングは、サードパーティCookieを利用してユーザーの情報や行動を把握することで実現されていました。しかし、サードパーティCookieが規制されることで、これらのターゲティングが困難になります。

  • リターゲティング:
    サードパーティCookieがブロックされると、ウェブサイト間でユーザーを追跡することができなくなります。そのため、ユーザーが訪問したウェブサイト以外ではリターゲティング広告を配信することができません。また、ファーストパーティCookieも有効期限が短くなることで、リターゲティングの対象期間が狭まります。
  • ビヘイビアターゲティング:
    サードパーティCookieがブロックされると、ユーザーの閲覧履歴や検索履歴などの行動データを収集することができなくなります。そのため、ユーザーの興味・関心を推測することができず、ビヘイビアターゲティング広告を配信することができません。
  • デモグラフィックターゲティング:
    サードパーティCookieがブロックされると、ユーザーの年齢や性別などの人口統計的な属性を把握することができなくなります。そのため、デモグラフィックターゲティング広告を配信することができません。

CV(コンバージョン)計測精度が低下

コンバージョン計測とは、広告主が設定した目標(例えば、商品購入や会員登録など)に対して、広告を見たユーザーがどれだけ行動したかを測定することです。コンバージョン計測には、以下のような種類があります。

  • クリックスルーCV:
    広告をクリックした後にコンバージョンした場合の計測です。例えば、ユーザーが広告をクリックしてウェブサイトに遷移し、そこで商品を購入した場合です。
  • ビュースルーCV:
    広告を見た後にコンバージョンした場合の計測です。例えば、ユーザーが広告を見て興味を持ち、後日ウェブサイトに直接アクセスして商品を購入した場合です。

これらのコンバージョン計測は、サードパーティCookieを利用して広告とコンバージョンの関連性を把握することで実現されていました。しかし、サードパーティCookieが規制されることで、これらのコンバージョン計測が正確に行えなくなります。

  • クリックスルーCV:
    サードパーティCookieがブロックされると、広告クリック時に発行されるCookieをコンバージョン時に読み取ることができなくなります。そのため、クリックスルーCVの数値が低く見積もられる可能性があります。
  • ビュースルーCV:
    サードパーティCookieがブロックされると、広告表示時に発行されるCookieをコンバージョン時に読み取ることができなくなります。そのため、ビュースルーCVの数値が全く計測できなくなる可能性があります。

アトリビューション分析精度が低下

アトリビューション分析とは、コンバージョンに至るまでにユーザーが接触した広告やメディアの役割や寄与度を分析することです。アトリビューション分析には、以下のような種類があります。

  • ラストクリック:
    コンバージョンの直前にクリックした広告に全ての寄与度を割り当てる方法です。例えば、ユーザーがAという広告を見てBという広告をクリックし、コンバージョンした場合、Bに100%の寄与度を割り当てる方法です。
  • ラストビュー:
    コンバージョンの直前に見た広告に全ての寄与度を割り当てる方法です。例えば、ユーザーがAという広告を見てBという広告を見てコンバージョンした場合、Bに100%の寄与度を割り当てる方法です。
  • マルチタッチ:
    コンバージョンに至るまでに接触した複数の広告やメディアに寄与度を割り当てる方法です。例えば、ユーザーがAという広告を見てBという広告をクリックし、Cという広告を見てコンバージョンした場合、Aに30%、Bに40%、Cに30%の寄与度を割り当てる方法です。

これらのアトリビューション分析は、サードパーティCookieを利用してユーザーの接触履歴を追跡することで実現されていました。しかし、サードパーティCookieが規制されることで、これらのアトリビューション分析が正確に行えなくなります。

  • ラストクリック:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン時にクリックした広告以外の広告の情報を読み取ることができなくなります。そのため、ラストクリック以外の広告の寄与度が無視される可能性があります。
  • ラストビュー:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン時に見た広告以外の広告の情報を読み取ることができなくなります。そのため、ラストビュー以外の広告の寄与度が無視される可能性があります。
  • マルチタッチ:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン時に接触した複数の広告やメディアの情報を読み取ることができなくなります。そのため、マルチタッチで割り当てられるべき寄与度が計算できなくなる可能性があります。

自動入札の精度が低下

自動入札とは、広告主が設定した目標(例えば、コンバージョン数やROAS(Return On Ad Spend)など)に応じて、最適な入札価格を自動的に決定する機能です。自動入札は、以下のような種類があります。

  • コンバージョン数重視:
    コンバージョン数を最大化するように入札価格を調整する方法です。例えば、1日あたり100回のコンバージョンを目標としている場合、その目標に近づくように入札価格を上げたり下げたりする方法です。
  • ROAS重視:
    広告費に対するコンバージョンの収益率(ROAS)を最大化するように入札価格を調整する方法です。例えば、1円の広告費に対して10円のコンバージョン収益を目標としている場合、その目標に近づくように入札価格を上げたり下げたりする方法です。
  • コンバージョン単価重視:
    コンバージョン単価(CPA)を設定した範囲内で最小化するように入札価格を調整する方法です。例えば、1回のコンバージョンに対して500円以下の広告費を目標としている場合、その目標を超えないように入札価格を下げたり、余裕がある場合は上げたりする方法です。

これらの自動入札は、サードパーティCookieを利用してコンバージョン計測やアトリビューション分析を行い、ユーザーの行動や傾向を予測することで実現されていました。しかし、サードパーティCookieが規制されることで、これらの自動入札が正確に行えなくなります。

  • コンバージョン数重視:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン数が正確に計測できなくなります。そのため、コンバージョン数を最大化するように入札価格を調整することができません。
  • ROAS重視:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン収益が正確に計測できなくなります。そのため、ROASを最大化するように入札価格を調整することができません。
  • コンバージョン単価重視:
    サードパーティCookieがブロックされると、コンバージョン単価が正確に計測できなくなります。そのため、コンバージョン単価を設定した範囲内で最小化するように入札価格を調整することができません。

Cookie規制への広告配信対策

Cookieの規制は、オンライン広告業界にとって避けられない現実です。しかし、それは決して絶望的な状況ではありません。Cookieの規制に対応するためには、以下のような対策が考えられます。

Cookieに依存しない再接触方法

再接触とは、一度ウェブサイトを訪問したユーザーに対して、再度広告を配信することです。再接触は、リターゲティングやビヘイビアターゲティングなどのターゲティング手法の一種です。再接触は、サードパーティCookieに依存していましたが、サードパーティCookieが規制されることで困難になります。しかし、Cookieに依存しない再接触方法も存在します。

カスタマーマッチ

カスタマーマッチとは、広告主が保有するユーザーのメールアドレスや電話番号などの情報を利用して、オンライン上でそのユーザーを特定し、広告を配信する方法です。
例えば、ユーザーがウェブサイトで商品を購入した際にメールアドレスを登録した場合、そのメールアドレスをもとにユーザーのオンライン上のID(例えば、GoogleアカウントやYahoo! JAPAN IDなど)を特定し、そのIDに紐づくデバイスやブラウザに広告を配信する方法です。カスタマーマッチは、Cookieに依存しないため、Cookieの規制の影響を受けません。また、ユーザーのオフラインでの行動や属性も把握できるため、より精度の高いターゲティングが可能です。

エンゲージメントターゲティング

エンゲージメントターゲティングとは、ユーザーが広告主のアプリやソーシャルメディアなどで行った行動や反応をもとに、広告を配信する方法です。
例えば、ユーザーが広告主のアプリで商品を閲覧した場合や、広告主のソーシャルメディアで投稿にいいねした場合などです。エンゲージメントターゲティングは、Cookieではなく、アプリやソーシャルメディアのIDやトークンなどを利用するため、Cookieの規制の影響を受けません。また、ユーザーの関心度や意向が高いと推測できるため、より効果的なターゲティングが可能です。

フォロワーターゲティング

フォロワーターゲティングとは、ユーザーが広告主のソーシャルメディアやブログなどでフォローしたり購読したりしたことをもとに、広告を配信する方法です。
例えば、ユーザーが広告主のTwitterやFacebookなどでフォローした場合や、広告主のブログやメルマガなどで購読した場合などです。フォロワーターゲティングは、Cookieではなく、ソーシャルメディアやブログなどのIDやトークンなどを利用するため、Cookieの規制の影響を受けません。また、ユーザーの興味・関心や信頼度が高いと推測できるため、より効果的なターゲティングが可能です。

オーディエンス・コンテンツターゲティングの活用

オーディエンス・コンテンツターゲティングとは、広告媒体が保有するユーザーの情報やコンテンツの情報を利用して、広告を配信する方法です。オーディエンス・コンテンツターゲティングには、以下のような種類があります。

コンテンツターゲティング

コンテンツターゲティングとは、広告媒体が提供するコンテンツ(記事や動画など)の内容やカテゴリーに応じて、広告を配信する方法です。
例えば、旅行関連のコンテンツに旅行商品の広告を表示することです。コンテンツターゲティングは、Cookieではなく、コンテンツ自体の情報を利用するため、Cookieの規制の影響を受けません。また、コンテンツと広告の関連性が高いと推測できるため、より効果的なターゲティングが可能です。

カスタムセグメント×ファインド広告

カスタムセグメント×ファインド広告とは、広告媒体が保有するユーザーの属性や行動データをもとに、広告主が自由にターゲット層を設定し、広告を配信する方法です。
例えば、ユーザーが20代女性であることや、過去30日以内に旅行関連のコンテンツを閲覧したことなどを条件に設定し、そのユーザーに対して広告を配信する方法です。カスタムセグメント×ファインド広告は、Cookieではなく、広告媒体が独自に収集したユーザーデータを利用するため、Cookieの規制の影響を受けません。また、広告主が細かくターゲット層を設定できるため、より精度の高いターゲティングが可能です。

類似ターゲティング

類似ターゲティングとは、広告主が指定した既存の顧客や見込み客などのユーザーと類似した属性や行動を持つユーザーに対して、広告を配信する方法です。
例えば、ユーザーが広告主のウェブサイトで商品を購入した場合や、広告主のメルマガに登録した場合などです。類似ターゲティングは、Cookieではなく、広告媒体が提供するオーディエンスデータや機械学習などを利用するため、Cookieの規制の影響を受けません。また、既存の顧客や見込み客と似た傾向やニーズを持つユーザーに対して広告を配信できるため、より効果的なターゲティングが可能です。

まとめ

Cookieの規制は、オンライン広告業界に大きな変化をもたらしています。特に、サードパーティCookieは、ターゲティングやコンバージョン計測などの広告効果測定に重要な役割を果たしていたため、その機能が制限されることで、広告主や広告媒体にとって多くの課題が生じています。しかし、それは決して絶望的な状況ではありません。Cookieの規制に対応するためには、Cookieに依存しない再接触方法やオーディエンス・コンテンツターゲティングなどの対策が考えられます。これらの対策は、Cookieではなく、他の情報源や技術を利用することで、より精度や効果の高い広告配信が可能です。オンライン広告業界は、Cookieの規制に柔軟に対応し、新しい価値やサービスを提供することで、成長を続けることができるでしょう。


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オーパスプラン編集部

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